今月のお宝ニュース

玉川村伝統行事「やっちゃごや」(玉川村)  2月19日
着物姿でお箏演奏 かすみ姉妹(郡山市)  2月7日
絵付けひょうたん作家 横田幸一さん(田村市船引町) 2月4日
◆先月までのお宝ニュース
  2009年 11月 12月


玉川村伝統行事「やっちゃごや」(玉川村)
  2010.2.19

 お宝リポーターの橋本です。
 今回は、玉川村の2つの地区に伝わる伝統行事「やっちゃごや」をご紹介します。

 実は、お宝リポーターとして活動を始めた頃、玉川村のイベントを調べていると、1月「やっちゃごや」とあって、これはいったいどんな行事なのか?気になってしかたなかったのでした。

 そして、とうとうその時期が近づいてきました。
 以前は、何カ所の地区で行なわれていたそうですが、年々途絶え、調べていくうちに現在では「山小屋地区』と「南須釜地区」の2つの地区で行なわれていることが分かりました。

 12月、地元の商工会にお伺いしたところ、偶然にも「やっちゃごや」を行なっている南須釜地区の方がおり、年末に小屋は建てられていることを教えてもらいました。
教えていただいた田んぼに行ってみると・・・

ありました!!ワラと竹で出来た小屋です!

 中に入ってみると、筋交いもしてあり、頑丈な造りにひたすら感心。小屋の確認が出来たので、この日は大満足でした。

=南須釜地区のやっちゃごや=


山小屋地区のやっちゃごやも完成していました。

=山小屋地区のやっちゃごや=


 そして、いよいよ1月14日。
 南須釜地区のは19時に行なわれると聞いていたので、30分前に小屋のある田んぼに行きました。その日は粉雪が舞う気温−3℃という寒さにも関わらず、地区の大人も子どもも大勢集まり、さらには地元消防団の皆さんがスタンバイしていました。


 あまりの寒さに耐えられず、小屋の中に入ると、中はとても暖かく、中学生の男の子達4〜5人が網でお餅を焼いて、甘茶を訪問者にふるまっていました。私も温かい甘茶をいただき、心も体もジ〜ンと温まりました。参加していた地元の方にお話を聞くと、昔から地区の男子(小学校3年生〜中学2年生)だけが参加できるのだそうです。その時の中心的役割は中学1年生で、中学2年生は過去の経験を生かして世話役に回るそうです。



 『やっちゃごや』がいつごろから始まったのか古老達にもわからないそうです。農作物を荒らしまわる害鳥を追い払って、その年の豊年を祈るとともに農村の正月の楽しみのひとつだったのだろうとも言われています。せっかく作った小屋ですが、最終夜に火をつけて正月飾りも一緒に燃やします。どんと焼きの役目もしているんですね。
 一時期、途絶えたこともあったそうですが、行なわなかった年に大火事があったこともあり、復活したそうです。
 現在、少子化ということもあり、小屋づくりの人手が足りず、大人も手助けしている状況ではあるのですが、ふるさとを想う玉川村の方々の気持ちがひとつになって伝統行事を守っている姿に感動しました。
 外は本当に寒かったけど、新年早々、心も体も温かくなれる『やっちゃごや』。
玉川村のお宝です。



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着物姿でお箏演奏 かすみ姉妹(郡山市)
  2010.2.7

 郡山市を拠点として、着物姿でお箏(こと)の演奏活動を行っている「かすみ姉妹」をご紹介します。

 姉の佳奈子さん(27歳)と妹の笑可(わか)さん(26歳)は、叶姉妹と違って実の姉妹。二人揃ってお箏と着物という日本文化を愛し、その良さを伝えようとしている、今時珍しい若者です。
 実は、かすみ姉妹のお母さんは「佳寿美会」というお箏の教室を開いており、二人は物心つく前からお箏に触れてきました。教室の演奏会では着物を着て演奏しますし、かすみ姉妹にとって、お箏と着物はとても身近な物なのです。
 しかしながら、それらは現代の日本人には忘れられてしまっている物です。お箏は蕎麦屋のBGMでしか聴いたことがない、着物は成人式でしか着たことがない、そんな人も多いでしょう。なればこそ、という訳でかすみ姉妹は積極的に活動しているのです。

かすみ姉妹 かすみ姉妹 妹
 佳奈子さん  笑可さん

 二人が表立って活動するきっかけになったのは、2004年にイオンタウン郡山で行われた「にじいろ音楽祭」(※1説明)でした。ある時、イオンタウンを訪れた佳奈子さんが「にじいろ音楽祭」のポスターを発見します。「面白そうだと思って、そのまま事務所に乗り込んだ」と言う佳奈子さん。その積極性が実り、当時姉妹ともう1人の若い女性とで組んでいた「かすみッ子」というグループで出演を果たします。
 そうして一度表に出たことで、周りから声を掛けられたり、自分達でも機会を作ったりで、段々と活動回数が増えていきます。演歌歌手の前座を務めたこともありました。また、郡山市内の小学校の授業に、お箏を教えに行くこともあります。

佳寿美会
小学生にお箏を教える佳奈子さん

 何故かすみ姉妹は積極的に活動するのか?その理由として、「お箏と着物の良さを伝えたい」という二人の純粋な思いがあります。笑可さんが、その思いについてこう語ってくれました。
「本当に、良さを伝えたいというだけなんですよね。お箏はお嬢様が弾くというイメージがありますけど、普通に出来るんですよ。だって、昔の日本ではお箏は珍しい物ではなかった訳でしょう。お箏は聴くよりも弾く方が絶対に楽しいから、色んな人に弾いてほしいんです。着物にしたって、昔はみんな普通に着ていたんですから。今の日本でも、もっと若い人が気軽に着られる様にしたいんです」
 素敵な志ですね。その志を裏付けるが如く、前述の「かすみッ子」は健在で、現在のメンバーはかすみ姉妹に加えて20代の女性3人と30代前半の男性1人の、計6人で構成されています。こちらは浴衣姿でにじいろ音楽祭への出演を継続中です。
 
 活動の幅を広げるかすみ姉妹の新たな手札として、今年から「かすみ姉妹ミニ和ライブ」が加わりました。毎月第4日曜日に、郡山市内の公民館で1時間程度、お箏と三絃(三味線)の「公開お稽古」を行います。
 公開お稽古には、「上達の過程を見せることで敷居を下げたい」という思い、そして、「お箏と着物の良さを伝えようと活動する自分達の姿を見てほしい」という思いが込められています。勿論、入場無料です。

 最後に、かすみ姉妹から読者の方への一言です。

佳奈子さん
「お箏のマイナスイメージは『弾くのが難しそう』、『年寄りがやる』、『お金がかかる』、『敷居が高い』、『楽器を運ぶのが大変』などです。かすみ姉妹はこれらのマイナスイメージを全て払拭すべく活動しています。私達のライブによって聴きに来て下さる皆様のイメージが少しでもプラスになれば嬉しいです!」

笑可さん
「お箏や着物を気軽に見てほしいし、触ってほしいです。もし私達のライブがそのきっかけになれば嬉しいです。どうぞお気軽にお越し下さい」

 こんなに素敵な女性達に毎月会えて、お箏の演奏が聴けて、美しい着物姿が見られるのです。これは、「かすみ姉妹ミニ和ライブ」に行かない手はありませんね。
 私は1月のミニ和ライブに行き、生まれて初めて生でお箏の調べを聴きましたが、実に興味をそそられました。お箏は、様々な楽器や音楽と合う音色と懐の深さを持っています。そして、着物姉妹に挟まれ写真を撮ってもらい、嬉しゅうございました。

 私事ですが、小生も三味線をほんの少しかじっておりまして、日本の文化を大切にしたいというかすみ姉妹の思いには大変共感致す所であります。
 かすみ姉妹の存在が珍しくも特別でもなくなる日が来る事を願い、この記事を結びます。

佳寿美会 佳寿美会
 1月のミニ和ライブ 至福の時

(お宝リポーター 本多)

かすみ姉妹の今後の活動予定
 2月14日(日) 佳寿美会箏コンサート
(郡山市中央公民館5階和室 13時半開場、14時開演) 
 2月28日(日)  かすみ姉妹ミニ和ライブ
(緑ヶ丘ふれあいセンター和室 14時開演)

かすみ姉妹連絡先
 佳奈子さん
 090-2326-2545 yoka-project-yukai-start-2008@docomo.ne.jp

佳奈子さんブログ
  すってっぺん日記
  http://plaza.rakuten.co.jp/kasumikko2004/

※1
   毎年5月と10月にイオンタウン郡山で開催されるチャリティーコンサート。
   http://www.nijiiro-m.com/                               (本文に戻る)
    

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絵付けひょうたん作家 横田幸一さん(田村市船引町)
  2010.2.4


 田村市船引町の民工芸品「絵付けひょうたん」は、地元で栽培されたひょうたんに絵付けしたもの。福島県の重要無形民俗文化財「お人形様」を描いたものや七福神、桜や草花などの絵が描かれています。絵付けひょうたん作家の横田幸一さん(船引在住)にお話を伺いました。

横田工房


「じつはこのひょうたん、20年位前にわたしが会津若松市にある御薬園に行ったとき、ひょうたんの種を譲り受けまして、それを父(横田幸雄さん)が育てたことがきっかけなんです。ひょうたんは、瓜科の植物で、へちまのように実をつけるのですが、それを一カ月間くらい水に漬けておく事で中身が腐り、その中身を取り出す事で空洞ができます。それを天日で約3週間乾燥させるとひょうたんができあがるんです。そのひょうたんに親父が絵を描いて市役所に持っていったところ、たまたま新聞記者がいまして『これは面白い!』って記事にしてくれたんでんです。これが大反響を呼びまして今にいたります。」

横田工房

  ひょうたんは、幸運を呼び込む縁起物として広く知られ、6つ集めることで無病という語呂合わせなどにもよく使われます。今では、地域を代表する民工芸品のお土産品として町おこしの商品となりました。
  幸一さんは美術学校で絵画を学び、現代アートの作家として活躍。毎年個展も開いています。現在は、作家活動のかたわら、父親の幸雄さんに代わり、絵付けひょうたんの制作や販売、小学校などでの絵付け体験会なども行っています。また、平成18年には「ひょうたんから駒」と題し、数名の現代アート仲間とひょうたんに絵を描いた展覧会を開催。あらたな絵付けひょうたんの可能性にもチャレンジしています。横田工房にはさまざまな種類のひょうたんの作品がたくさんあります。見学のほかひょうたんの絵付けもできるので、ぜひ足を運んでみてください。

横田工房



場所:横田工房
住所:田村市船引町大字堀越字若宮196(地図
電話:(0247)85-3044
FAX:(0247)85-3044
問合せ先:横田工房

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